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2026/06/19eラーニングの知識
社内研修を内製化するメリット・デメリット|費用と続け方を解説

研修を外部の会社に頼むと、費用がかさみ、自社の業務に合わせた内容にしづらいと感じることはないでしょうか。そこで関心が高まっているのが、研修を社内で企画・運営する「内製化(ないせいか=外部に頼らず自社で行うこと)」です。とはいえ、ただ社内に切り替えればうまくいくわけではありません。
本記事では、厚生労働省の公的データをもとに、企業の人材育成が抱える現実を整理します。そのうえで、社内研修を内製化するメリットとデメリット、つまずきやすい点、そしてeラーニング(オンラインで学習を配信し、進み具合を管理する仕組み)を使って内製化を無理なく続けるコツまでを解説します。
公的データで見る「社内で人を育てる」現実
はじめに、人材育成の現状を数字で確認します。厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」によると、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとした事業所は79.9%にのぼりました。約8割の会社が、人を育てることに課題を感じている計算です。

問題点の内訳を見ると、最も多いのは「指導する人材が不足している」で59.5%でした。次いで「人材を育成しても辞めてしまう」が54.7%、「人材育成を行う時間がない」が47.4%と続きます。上位3つはいずれも、外部の研修会社に頼むだけでは解決しにくい、社内の体制に関わる課題です。教える人が足りず、時間も取りにくいという現実が、多くの職場に共通しているのです。
一方で、社内での育成は決して特別なことではありません。同じ調査では、計画的なOJT(オージェイティー=日常業務のなかで計画的に教える教育)を正社員に実施した事業所は61.1%にのぼります。多くの会社が、すでに自社で人を育てる取り組みを行っています。だからこそ、その取り組みをいかに効率よく、続けやすい形に整えるかが問われています。
関連して、教育にかけるお金の現状も見ておきましょう。OFF-JT(オフジェイティー=通常の業務を一時的に離れて行う研修)などの教育訓練費用を支出した企業は54.9%で、半数強にとどまります。労働者一人あたりのOFF-JT費用の平均は1.5万円でした。限られた予算のなかで成果を出すうえでも、社内研修の内製化は有力な選択肢になります。なお、人材投資の全体像については企業の人材投資の現状を解説した記事でくわしく扱っています。
研修の「内製化」とは?外注との違い
研修の内製化とは、研修の企画から教材づくり、講師、運営までを自社の社員が担うことを指します。これに対し、研修会社や外部講師に任せるやり方を「外注(がいちゅう=外部に委託すること)」と呼びます。どちらか一方に決める必要はなく、両方を組み合わせる会社も多くあります。まずは3つの進め方の違いを整理します。
| 進め方 | 内容 | 向いている場面 |
| 内製(社内で実施) | 自社の社員が企画・教材作成・講師・運営を担う | 自社独自の業務知識、繰り返し行う定番研修 |
| 外注(外部に委託) | 研修会社や外部講師に企画・実施を任せる | 専門資格、法律で定められた研修、最新の専門知識 |
| 併用(内製+外注) | 基礎は社内、専門分野だけ外部、というように使い分ける | 多くの企業の現実的な落としどころ |
ポイントは、すべてを内製に切り替えることがゴールではない点です。自社にしかない業務知識やマナー、繰り返し実施する定番の研修は内製に向きます。一方、専門資格の取得や、最新の専門知識が必要な分野は外注のほうが確実です。自社の研修を棚卸しして、内製と外注を仕分けることが第一歩になります。内製と外注の判断軸はeラーニング教材の作り方を解説した記事でも整理しています。
社内研修を内製化するメリット

メリット①:自社の業務にぴったり合わせられる
内製の最大の強みは、自社の実情に合わせて中身を作れることです。外部の研修は内容が一般論になりがちですが、内製なら自社の商品、手順、過去の失敗事例まで盛り込めます。現場ですぐ使える研修になるため、学んだことが仕事に結びつきやすくなります。
メリット②:費用を抑えやすい
外注では、1回ごとに講師料や受講料がかかります。内製なら、最初に教材を作る手間はあるものの、2回目以降は同じ教材を繰り返し使えます。受講する人数が多いほど、また同じ研修を何度も行うほど、一人あたりの費用は下がっていきます。新入社員研修のように毎年実施するものほど、内製の費用面の利点は大きくなります。
メリット③:知識やノウハウが社内に残る
研修を社内で作ると、教える内容が教材という形で会社に蓄積されます。ベテランが持つ技能や判断の勘どころを言葉にして残せるため、属人化(その人にしかできない状態)を防げます。担当者が異動・退職しても、教材が残っていれば育成を続けられます。これは、先ほどのデータで多くの企業が課題に挙げた「指導する人材の不足」への備えにもなります。
メリット④:すばやく作って、すぐ直せる
制度変更や新商品の発売など、現場の変化に合わせて研修もすぐ更新したいものです。外注だと打ち合わせや日程調整に時間がかかりますが、内製なら自分たちのタイミングで教材を直し、すぐ配信できます。この機動力は、変化の速い業務ほど効いてきます。
内製化のデメリットと、つまずきやすいポイント
良いことばかりではありません。内製化には相応の負担と、続けるうえでの難しさがあります。代表的なつまずきと、その打ち手を整理します。
| つまずきやすいポイント | 陥りがちな失敗 | 有効な打ち手 |
| 教材づくりの負担 | 担当者がゼロから資料を作り込み、本業を圧迫してしまう | 既存の社内資料や動画を再利用し、少しずつ教材化する |
| 講師役の属人化 | 特定のベテラン1人に依存し、その人が抜けると回らない | 講義を録画し、誰でも見られる教材として残す |
| 受講状況が見えない | 配って終わりで、誰がどこまで進んだか把握できない | 学習を管理する仕組み(LMS)で進み具合を可視化する |
| 品質のばらつき | 担当者の力量で研修の質が大きく変わる | 教材と進め方をひな型としてそろえ、標準化する |
とくに見落とされがちなのが「受講状況が見えない」という点です。教材を配っただけでは、本当に学んだかどうかは分かりません。先に見たデータでも「人材育成を行う時間がない」が課題の上位でした。限られた時間で成果を出すには、誰がどこでつまずいているかを把握し、手をかけるべき相手に集中することが欠かせません。そのための仕組みが、次に紹介するeラーニングです。
内製化を「続ける」ためのeラーニング活用

内製化が長続きしない最大の原因は、担当者の負担が一点に集中することです。これを和らげる土台になるのが、eラーニングと、それを支えるLMS(エルエムエス=学習管理システム。教材の配信や受講状況の管理をまとめて行う仕組み)です。研修を「集まって一度きり」で終わらせず、繰り返し使える資産に変えてくれます。
一度作った教材を、何度でも届けられる
講義を録画し、資料をオンラインに置けば、同じ研修を何度でも配信できます。受講する人は自分の都合のよい時間に学べるため、全員の予定を合わせる必要がありません。新しく入った人にも、過去の研修をそのまま届けられます。教材が会社の資産として積み上がり、内製の費用面の利点をさらに引き出せます。
「誰がどこまで進んだか」が見える
LMSを使うと、受講者ごとの進み具合や小テストの結果が記録されます。未受講の人だけに声をかける、つまずいている単元を補強する、といった対応が、推測ではなくデータにもとづいて行えます。担当者は全員を追いかける必要がなくなり、本当に手をかけるべき相手に時間を使えます。これは「時間がない」という現場の課題に直接効きます。
オープンソースのLMSなら、無理なく始められる
LMSにはさまざまな種類がありますが、世界で広く使われているのが、オープンソース(無料で公開され、誰でも使えるソフトウェア)のMoodle(ムードル)です。ソフトウェア自体の利用料がかからないため、内製化の費用を抑えたい会社と相性がよい選択肢です。当社の「IO Moodle(イオムードル)」のように、構築や運用を支援するサービスを使えば、専門の担当者がいなくても始められます。社内に研修を根づかせる器として、まずは小さく試すことをおすすめします。OJTとオンライン学習の組み合わせ方はOJTとeラーニングの組み合わせ方を解説した記事も参考になります。
まとめ
厚生労働省の調査では、約8割の事業所が人材育成に課題を感じ、「指導する人材の不足」「時間がない」が上位を占めました。社内研修の内製化は、自社に合った内容を、費用を抑えながら、ノウハウを社内に残す形で実施できる有力な手段です。一方で、教材づくりの負担や講師役の属人化、受講状況が見えないといった難しさもあります。すべてを内製に切り替えるのではなく、外注と賢く使い分けることが現実的です。そして、内製化を無理なく続けるカギは、eラーニングとLMSで研修を「繰り返し使える資産」に変え、受講状況を見える化することにあります。まずは定番の研修から、小さく始めてみてください。
よくある質問
Q1. 社内研修の内製化とは何ですか?
研修の企画から教材づくり、講師、運営までを、自社の社員が担うことを指します。外部の研修会社や講師に任せる「外注」と対になる考え方です。すべてを社内に切り替える必要はなく、基礎は内製、専門分野は外注というように、両方を組み合わせて使い分ける会社も多くあります。
Q2. 社内研修を内製化するメリットは何ですか?
大きく4つあります。自社の業務に合わせて中身を作れること、繰り返し使うことで費用を抑えやすいこと、知識やノウハウが教材として社内に残ること、そして現場の変化に合わせてすぐ更新できることです。とくに毎年行う定番の研修ほど、費用と機動力の面で利点が大きくなります。
Q3. 内製化のデメリットや注意点はありますか?
教材づくりが担当者の負担になりやすい点、特定のベテランに講師役が偏る点、配って終わりで受講状況が見えにくい点などが挙げられます。対策としては、既存の社内資料を再利用する、講義を録画して教材に残す、学習管理システム(LMS)で進み具合を見える化する、といった方法が有効です。
Q4. 内製化を無理なく続けるにはどうすればよいですか?
研修を「集まって一度きり」で終わらせず、繰り返し使える資産に変えることが鍵です。具体的には、講義を録画してeラーニングとして配信し、LMSで受講状況を管理します。これにより担当者の負担が一点に集中するのを防げます。費用を抑えたい場合は、オープンソースのMoodleを土台にしたサービスから小さく始める方法もあります。
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