2026/05/29eラーニングの知識

eラーニング教材の作り方|内製と外注の判断軸・進め方・費用相場を解説

eラーニング教材の作り方|内製と外注の判断軸・進め方・費用相場を解説

eラーニング教材を作りたいが、自分たちで作るべきか、それとも制作会社に発注すべきかで悩む人事・教育研修担当者は多いものです。社内に動画編集できる人がいれば内製でいけそうに見える一方、いざ着手すると企画・撮影・編集・LMS(学習管理システム=学びを配信し進捗を管理する仕組み)への搭載まで思った以上に工程が多く、途中で止まってしまうケースも少なくありません。本記事では、内製と外注を判断するための具体的な軸、それぞれの進め方、そして気になる費用相場までを一気通貫で解説します。これから教材作りに着手する方も、すでに何本か作って次の方針を決めたい方も、自社にとっての最適解を選ぶための判断材料として活用してください。

eラーニング教材の作り方には3つのパターンがある


eラーニング教材の作り方は、大きく分けると「内製」「外注」「ハイブリッド(一部内製・一部外注)」の3パターンに整理できます。内製は自社の人材と設備で企画から制作までを行う方法で、ノウハウが社内に残りやすく更新も自由にできる反面、品質と工数は担当者のスキルに左右されます。外注は専門の制作会社に企画段階から委ねる方法で、完成度の高い教材が短期間で手に入る一方、費用がかかり著作権や運用後の修正条件をきちんと取り決める必要があります。ハイブリッドは「シナリオ設計やスライドは社内、撮影と編集だけ外注」のように工程ごとに分担する方法で、近年もっとも採用されやすい現実解です。本記事ではまずこの3つの違いを押さえた上で、具体的な判断軸と進め方に入っていきます。

もう一つ、作り方を選ぶ前に押さえておきたいのが「教材の形式」です。eラーニング教材というと動画を思い浮かべがちですが、動画だけが教材ではありません。スライドやPDF、解説テキストを読んで学ぶ「資料閲覧型」も、立派なeラーニング教材です。手順書・業務マニュアル・制度説明のように、文章と図で正確に伝えたい内容は、むしろ資料閲覧型のほうが読み返しやすく、理解が深まります。資料閲覧型は撮影や編集が不要なため、制作の手間とコストを抑えやすく、内容が変わったときの更新も簡単だという利点があります。一方で動画が向くのは、操作の流れや実演など「動きで見せたほうがわかりやすい」内容です。まずは「動画にすべき内容か、それとも資料で読ませたほうが伝わる内容か」を見極め、無理に動画化しないことが、続けやすい教材作りの第一歩になります。

内製と外注の判断軸|何を基準に選ぶか


eラーニング教材の内製と外注の判断軸をチームで議論するミーティングのシーン

「内製か外注か」は、感覚や予算だけで決めると後から必ず歪みが出ます。以下の6つの軸を順番に検討し、自社にとって優先度の高い軸が多い方を選ぶのが安全な進め方です。とくに「更新頻度」と「社内人材の確保状況」は、運用が始まってからボディブローのように効いてくる項目なので、初期費用の比較だけで判断しないことが重要です。

判断軸内製が向くケース外注が向くケース
求めるクオリティ社内向けの実務研修で「伝わる」程度で十分顧客向け販売や採用ブランディングで仕上がりの完成度が問われる
更新頻度業務マニュアルや法改正対応など、年に複数回の差し替えがある一度作れば数年使う体系的研修(新人導入研修のコア部分など)
費用予算1本あたりの予算が数万円〜十数万円程度1本あたり数十万円〜数百万円を投資できる
社内人材動画編集・スライド作成の経験者が社内にいる、または育てたい専門人材が社内におらず、教材作りに時間を割けない
納期制作スケジュールを自社の都合で柔軟に動かしたい特定の研修開始日に合わせて確実に納品が必要
著作権・改変の自由度素材も含めて自社で完全に保有し、自由に改変したい著作権の整理はベンダ任せでよい(契約で明確化することが前提)

たとえば、社内マニュアルを動画化して新人教育に使うケースでは、内容が頻繁に変わる前提なので内製の方が運用負荷が低くなります。一方、自社サービスを顧客に販売する研修プログラムのように「お金をいただく教材」は、見栄えと構成の質が信頼に直結するため、外注または企画設計だけ外注のハイブリッドが妥当です。

eラーニング教材を内製するときの進め方


社内スタジオでeラーニング動画教材を内製するプロカメラマンの撮影シーン

内製の進め方は、基本的に「企画→設計→撮影/作成→LMS搭載→テスト」の5ステップで進みます。各ステップで必要な人員と所要日数の目安を頭に入れておくと、見積もりと社内調整がスムーズになります。

Step 1: 企画(所要1〜3日)

「誰に・何を・どこまでできるようになってほしいか」を1枚の企画書にまとめます。受講対象者、学習目標、想定する受講時間、テストの要否、評価基準の5点を最低限固めておくと、後工程で迷子になりません。教育研修の担当者と現場の管理職がここで合意を取っておくのが理想です。

Step 2: 設計(所要2〜5日)

1本の教材を何分にするか、章立て(セクション構成)をどうするか、スライドベースか動画ベースか、確認テストはどこに入れるか、を細かく設計します。1本あたり10〜15分程度に区切ると受講完了率が安定しやすいため、長尺になりそうな内容は分割を前提に設計してください。

Step 3: 撮影・作成(所要3〜10日/1本あたり)

動画撮影の場合は、講師となる人の時間確保がボトルネックになりがちです。スマートフォンと三脚、ピンマイクがあれば実用品質の撮影は十分可能で、編集はオープンソースや無料の動画編集ソフトで対応できます。スライド中心の教材であればPowerPointやKeynoteで作成し、ナレーションを後付けする手も使えます。

Step 4: LMSへの搭載(所要1〜2日)

完成した動画やスライドをLMSに登録します。Moodle(ムードル)の場合、コースの「編集モード」をオンにして「活動またはリソースを追加する」から動画ファイルやSCORM(スコーム=eラーニング教材の国際標準規格)パッケージをアップロードする流れです。スライド資料をページめくり式にして進捗を取りたい場合は、PDFやPowerPointをSCORMHEROのような変換サービスでSCORM化してからアップロードすると、受講者がどこまで見たかをLMS側で管理できます。

Step 5: テスト・公開(所要2〜3日)

必ず受講対象者と同じ権限を持つテストアカウントで通しの動作確認をします。動画が小さく表示されてしまう、SCORMの進捗が記録されない、確認テストの合格点が想定と違う、などの不具合はこの段階で必ず洗い出してください。公開後の修正は告知のやり直しになるため、テスト工数を惜しまないのが鉄則です。

eラーニング教材を外注するときの進め方と発注のコツ


外注の場合は「要件定義→ベンダ選定→見積→制作→検収→運用」の流れで進めます。内製と違って自社で動かせない工程が中心になるため、最初の要件定義の精度がそのまま納品物の質を決めます。

要件定義〜ベンダ選定

目的・受講対象者・希望する仕上がり・利用するLMS・納期・予算上限の6点を1枚にまとめ、複数社に相見積もりを依頼します。教材の実物サンプルを必ず見せてもらい、自社の業種・テーマに近い実績があるかを確認してください。価格だけで選ぶと、納品後の修正が有償だったり、SCORMで納品されずLMSにうまく載らなかったりするケースに当たります。

発注時に必ず取り決めたい3つのポイント

項目陥りがちな失敗有効な打ち手
教材の所有権「契約に書いていないので元データは渡せません」と納品後に言われ、修正のたびに発注が必要になる契約書に「成果物の著作権は発注者に譲渡する」「元データ(編集可能ファイル)も納品物に含む」と明記する
SCORM対応の有無MP4動画だけで納品され、LMSで進捗が記録できない使用するLMSとSCORM規格(1.2 / 2004)を要件定義時に伝え、SCORMパッケージでの納品を仕様に含める
運用後の修正対応軽微なテロップ修正でも別見積もりになり、年間の運用費が膨らむ「軽微な修正は◯回まで無償」「対応窓口・対応期間」を契約で明確化する

この3点を最初に押さえておくだけで、運用が始まった後の「想定外コスト」を大きく減らせます。とくに著作権の譲渡は、社内で軽微な差し替えをしたいときの自由度に直結するので、必ず書面で残してください。

eラーニング教材の費用相場


費用感は教材のタイプによって大きく異なります。以下は2026年時点の一般的な目安レンジで、内製は「機材と人件費の実質コスト」、外注は「制作会社に支払う金額」を示しています。ベンダや内容によって振れ幅があるため、あくまで概算として捉えてください。

教材タイプ内製の費用目安(1本あたり)外注の費用目安(1本あたり)
スライド型(音声なし)1万円〜5万円10万円〜30万円
動画型(講師撮影+編集)3万円〜15万円30万円〜100万円
SCORM型(進捗・テスト込み)5万円〜20万円50万円〜150万円
本格シミュレーション教材内製はほぼ不可(要専門スキル)100万円〜500万円超

内製の費用は「すでに社内にいる担当者が業務時間内に作れる」前提です。新しく人を雇ったり外部に編集を依頼したりすると、内製でも外注に近いコストがかかる点には注意が必要です。とくにSCORM型以上の本格教材は、外注の方が結果として安く・早く・安定する傾向があります。eラーニングの費用対効果の考え方は「eラーニング導入の費用対効果を徹底解説」で詳しく触れているので、投資判断の検討材料として併せてご覧ください。

教材作成でよくある失敗パターン


eラーニング教材作成のよくある失敗パターンに頭を悩ませる担当者のシーン

これまで多くの教材制作プロジェクトで繰り返し見てきた失敗パターンを4つに整理します。事前に知っておくだけで回避できるものばかりなので、企画段階のチェックリストとして活用してください。

失敗パターン陥りがちな状況有効な打ち手
高品質を狙いすぎて納期遅延テレビ番組並みの仕上がりを目指して撮り直しを繰り返し、配信開始が3カ月遅れる「学習目標の達成」を品質基準とし、画質や演出は最低限のラインで合意する
LMSとの互換性確認漏れ納品されたSCORMがバージョン不一致でLMSに読み込めない制作着手前にLMSとSCORM規格を仕様書で明文化し、サンプル教材で事前検証する
著作権処理漏れBGM・写真・スライド素材の利用許諾が曖昧なまま公開してしまう商用利用可かつクレジット表示不要の素材のみを使い、出典を社内で記録する
更新運用が止まる初回リリース後、改訂担当者が異動して教材が古いまま放置される年1回の見直しタイミングを社内ルールとして決め、改訂手順をマニュアル化しておく

とくに4つ目の「更新運用が止まる」問題は、内製・外注を問わず発生する根深い課題です。教材を作ること以上に、作った後の保守体制を最初に決めておくことが、長期で見たときの最大のコスト削減になります。教材を含めた制作プロセス全般については「eラーニングコンテンツの失敗しない制作方法とは?」でも触れているので、より詳しい注意点はそちらをご覧ください。

IO Moodle・Moodleで教材を運用するときに知っておきたいこと


作った教材を実際に配信する段階では、LMS側がSCORMにきちんと対応しているかが運用のしやすさを大きく左右します。Moodle(ムードル)は標準でSCORM 1.2およびSCORM 2004の両方に対応しており、アップロードしたSCORMパッケージから受講者の進捗・得点・受講時間まで自動で記録できる仕組みになっています。これにより、誰がどの教材をどこまで進めたかを管理画面から一覧で把握でき、未受講者へのリマインドや受講完了率の集計が容易になります。

株式会社イオマガジンが提供する「IO Moodle(イオムードル)」では、Moodleの標準機能に加えて、課題未提出者や動画未視聴者への自動催促メール、コース内の連絡業務を効率化するクイックメール機能などを独自に搭載しています。教材を作る側だけでなく、受講者を最後まで走り切らせる「運用面」まで含めて考えるなら、LMS選びの段階でこうした周辺機能の有無を確認しておくと安心です。SCORMの基本的な仕組みは「SCORMとは?eラーニング標準規格の仕組み」、PDFやスライドをSCORM化する具体的な手順は「Moodle使いこなし術⑩ PDF/スライドのSCORM化」で詳しく解説しています。

まとめ


eラーニング教材の作り方には内製・外注・ハイブリッドの3パターンがあり、どれが正解かは「更新頻度」「求める仕上がり」「社内人材」「予算」「納期」「著作権の扱い」の6軸で決まります。1本数万円の社内向け教材から500万円超の本格シミュレーション教材まで費用幅は広く、教材タイプごとの相場感を押さえた上で投資判断することが重要です。外注時は教材の所有権・SCORM対応・運用後の修正対応の3点を契約で明確化し、内製時は5ステップの工程と各工程の所要日数を見積もって計画的に進めてください。教材は作って終わりではなく、運用と更新を続けてこそ価値が出る資産です。LMS選定や運用体制まで含めて検討したい方は、ぜひ以下からご相談ください。

よくある質問


Q1. eラーニング教材を内製するのに必要な最低限のスキルは何ですか?

スライド型の教材であればPowerPointやGoogleスライドの操作スキル、動画型であれば基本的な撮影と簡単な動画編集スキルがあれば着手できます。とくに動画は、スマートフォンでの撮影と無料の動画編集ソフトを組み合わせれば、社内研修用としては十分な品質の教材を作れます。難易度が一気に上がるのはSCORM化以降の工程なので、ここは変換サービスや外注を併用するのが現実的な選択肢です。

Q2. 外注するときに最初に決めておくべきことは何ですか?

受講対象者・学習目標・利用するLMS・納期・予算上限の5点をまず1枚にまとめておくと、その後のベンダ選定と見積取得がスムーズに進みます。あわせて、契約段階で「成果物の著作権譲渡」「元データの納品」「SCORMパッケージでの納品」「軽微な修正の無償回数」の4点を必ず取り決めておくと、運用後の追加コストを大きく抑えられます。とくに著作権の整理は後から変更できないため、最初の契約で必ず明文化してください。

Q3. SCORM対応にこだわる必要はありますか?

受講者の進捗や得点をLMS側で管理したい場合は、SCORM対応が事実上必須となります。単なるMP4動画やPDFをアップロードするだけでは、誰がどこまで見たかをLMS側で把握できないため、未受講者へのリマインドや受講完了率の集計ができません。逆に、社内の任意学習用に「見られればよい」レベルであればSCORMにこだわる必要はないため、教材の利用目的に応じて判断してください。

Q4. 内製と外注を組み合わせる場合、どこを分担するのが効率的ですか?

もっとも採用されやすいのは「企画・シナリオ設計は内製、撮影・編集・SCORM化は外注」という分担です。現場知識を持つ社内担当者がシナリオを書き、見栄えと技術が問われる工程だけを外部に任せる形にすると、品質と費用のバランスが取りやすくなります。逆に企画から外注に丸投げすると、現場の実情と教材内容がずれて使われない教材になりがちなので、企画工程は必ず社内に残すことをおすすめします。

Q5. 教材を作った後に重要なことは何ですか?

もっとも重要なのは更新運用を止めないことです。教材は法改正や業務手順の変更、組織体制の変化に応じて定期的に見直す必要があり、初回リリース後に放置すると数年で陳腐化してしまいます。年1回程度の見直しタイミングを社内ルールとして固定し、改訂手順を簡単なマニュアルにしておくと、担当者が異動しても継続的に更新できる体制を作れます。LMSの受講ログを定期的に見て、完了率が低い教材から優先的に改善していくのが効率的です。

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イオマガジンは、スタンダード市場上場の「城南進学研究社」のグループ会社であり、また「Moodle(ムードル)」の正式パートナーです。日本の大学や病院、企業さまに対し、「Moodle(ムードル)」の構築・運用・カスタムなどをサポートしています。「何度でもチャレンジできるセカイを」をモットーにしながら、人生100年時代の大人の学び(リカレント教育)をサポートしています。

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