言語を勉強する喜びを大切に~普連土学園を訪ねる(15)

 画像:FGSウェブキャンパス:中学2年 English-Oral Communication/Dictation 教材(スティフラー先生作成)

―――――日本での一般的な英語教育について、どうお考えになりますか。

スティフラー先生
「これまで日本の英語教育は、どちらかというと普通に使える英語を勉強させるのではなく、入試やその勉強のために、珍しい単語や文法、専門的な論文からの文章を教材として使用する傾向があったと思います。
 英語を学ぶ本来の目的は、英語を使って、説得力のある話ができること、自分の考えを論理的にスムーズに説明できること、意見が異なる場合は、自分の主張を伝え、異を唱えられるようにすることだと考えます。私たちは、この目的を達成するために、日々の授業に今後もしっかりと取り組みたいと思います。」

オコナー先生
「私は一般的に、言語の教育は辛い作業であってはならないと思います。誰でも外国語の小説や詩を学めば、その文化も学べます。
 しかし例えば、もし、ある外国語テストの結果次第で、減給させられるとしたらどうでしょうか? 学ぼうとしている外国語から罰を受けるように感じてしまいますね。」

スティフラー先生
「言葉を勉強する喜びを実感することが大事だと思います。人間として充実した生活を送るために言語の勉強ができればと思います。
 私も大学で外国語として日本語と共にスペイン語を勉強したのは『ドンキホーテ』などの名作を読みたいからでした。16世紀のスペイン人は、どのように考えていたかが気になっていたので勉強したのです。日本語を勉強したのも、日本で暮らしたい、日本の音楽を理解したい、と思ったからです。」

―――――スティフラー先生が作成されたビデオを拝見しましたが、そこでは母音と子音についての内容が分かり易く説明されていました。あのビデオを見て「なるほど」と、言葉の喜びを感じました。

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画像:FGSウェブキャンパス:中2 :English- Oral Communication / Dictation / スティフラー先生によるビデオ
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スティフラー先生
「基本的にはビデオを使用するならば、ビデオでしか表現できないこと行おうと考えています。映像の文字と発音を同時に生徒たちに伝えられるのはビデオの良いところです。
 黒板に書いて発音してもよいのですが、文字をアニメーションにして動かすと、生徒たちに興味を持って見てもらえます。その他、ビデオならば色々な国の発音を聞いてもらうことも可能ですし、何度も繰り返し再生し、確認することができます。
 例えばアメリカ、アイルランド、イギリスのそれぞれの英語の発音の違いなどを聞くことができます。
 今年(2015年)の夏、アメリカから新しい先生が2人赴任しましたが、彼らはいつも明るく元気に過ごしています。生徒たちが英語学習に更に興味を持つために、2人の魅力を使えるのではないかと期待しています。2人にはFGSウェブキャンパスにたくさんのビデオを作ってくださいと頼んでいます。」

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画像:FGSウェブキャンパス:中2 :English – Oral Communication / Dictation

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画像:FGSウェブキャンパス:English Vlogs(vlogとは video + blog で映像コンテンツのある blogのこと)
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―――――生きた英語を教えつつ、結果として受験英語もできるというのが理想だとは思いますが、普連土ではいかがでしょうか。

スティフラー先生
「そうですね。もちろん、受験のためには日常的な英語だけでは足りませんが、それがベースになります。そのベースに、専門的な文法を乗せようと考えています。
 英語、言葉には規則はもちろんあるのですが、それよりも「これは正しい」と感覚的に判断できるようになることが重要です。最終的にその感覚を掴まないと、英語は実際に使えません。各生徒の頭にある英語システムをもう少し発達させることを目指しています。
 もちろん英語の文法を教えることもそのシステムを作る1つです。テーブルを例にすると文法は1つの脚です。しかしそれだけではなく、様々な、意味のある英語の使い方を体験することも大切なのです。
 例えば英語で多くの本を読むことや、英語で多くの会話をすることです。それらを積み重ねていくと、生徒の頭の中で、言語システムが洗練されていきます。
 最終的には、考えなくても英語でコミュニケーションを取れることが目標です。
 難関の大学を目指している生徒は、さらに難しい英語を勉強しなければなりませんが、義務感でやると辛くなるので、勉強を楽しいと思えたら一番良いと思います。」

―――――ICT教育について、日本とアメリカ、アイルランドの違いはありますか?

オコナー先生
「私が大学で学んでいたときには、大学にブラックボード(Moodleのような教育支援システム)がありました。
 都会の学校では、教育支援システムはとてもポピュラーになっていますが、地方ではそれほど普及していません。しかしEU諸国が教育支援システムに力を入れているので、地方の学校も採用する方向に向かっていると思います。」

スティフラー先生
「日本での生活が長いので何とも言えません。しかし夏休みに母校の小学校へ寄ったのですが、スマートボードが設置してありました。時代の変化を感じました。田舎の自分の学校にもそのような設備があるので、アメリカではかなり使われているのではと思います。もうすでに『ICTを使用するべきか?』というその質問自体が珍しくなっていると思います。」

―――――ICT機器の氾濫など、ICT教育に危惧を感じるといったことはありませんか?

スティフラー先生
「ICT機器は、拒否するよりも、使いこなせる力をつけるのが一番良いと思います。
 自分がどのような人になりたいかと考えると『目の前にある世界と深く関われる人』になりたいと思います。iPadなどを使用すれば、例えば木の種類を調べることができます。そうすることで、周りの世界との関係が深まります。また日本語の勉強ツール(道具)として使用し、日本語をより良くスムーズに話せるようになれば、周りの人とうまく関わることができます。
 『スマホなどを所有するモダンな生活は良くない』と思ってる知人もいますが、私はそうではなく、ただ1つの道具として使いたいと思います。スマホやICTは道具であり、目的ではないと思っています。」

 道具としてのICTを活用しつつ、外国語を習得する際の「言葉の喜び」を大切にする先生方が印象的でした。次回更新をお楽しみに。


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