興味を広げ、知識を深める手助けを~普連土学園を訪ねる(12)

写真 : 情報・機械・電気電子等の勉強になる手作りロボット

―――――FGSウェブキャンパスのビデオは、どのように制作していますか?

鈴木先生
「ビデオ教材の長さの目安は生徒の年齢分らしいので、FGSウェブキャンパスのビデオは1つあたり15分は超えないようにしています。ほとんどのビデオは10分以内に収まっています。
 制作するときは、まず20分程度で試し撮りをしながら内容を確認し、必要があれば追加の資料を作成したり、テキストを修正したりします。その後また30分ほどかけて撮影し、1時間位かけて編集します。1本のビデオの制作には約2時間かかります。
 今年は初年度で沢山のビデオを作らなければいけないので、1本に2時間以上はかけない、ということを決めて、その中で出来ることをしています。最初の数本は原稿を作っていましたが、時間がかかり過ぎるのでやめました。ビデオの完成度を求めるのであれば作るべきですが、高2・高3の全単元を一年で作ろうとすると時間的に難しかったです。」

―――――ビデオは学校で制作しているのですか?

鈴木先生
「ビデオ制作は自宅で行っています。娘が小さいので、娘が寝た後か、起きる前の時間帯を充てなければなりません。
 最初の頃に作ったビデオには、娘の泣き声が入っていたこともありました。また別の時は、録音している最中に、娘が『パパ』と呼びながら部屋に入ってきたこともありました(笑)。その失敗談を生徒に話すと、『そのビデオを見たい』と言っていました。
 私が反転授業を始めるきっかけになった本の著者であるジョナサン・バーグマン先生(米コロラド州の理科教師)も、学習ビデオに身近なネタを盛り込むと生徒の息抜きになると奨励しています。そのうち娘もビデオに登場するかもしれません。」

―――――ビデオ作成が、時間や労力の負担になっていませんか?

鈴木先生
「今年度、すでに80本近いビデオを撮影しましたが、これはかなり負担が大きいです。できれば、出来合いのものを利用したいと考えていますが、YouTubeなどを見てもあまり適当なものがないのでしかたがありません。
 修正すべきところはたくさんありますが、来年以降は基本的に今年度作成したものを使うことができるので、今後への貯金だと思って頑張っています。
 将来的には、私が作るよりもずっと良いビデオが国などによって作成されて、それを利用するようになるでしょうが、そのときも実験や問題の解説などで、こちらで作成しなければいけない分野は残ると思います。その練習だとも考えています。」

―――――FGSウェブキャンパスにロボット・プログラミングについてのブログを掲載されていますが、これはどういう目的があるのですか?

鈴木先生
「理系の物理選択の生徒を教えていて、大学で何を学びたいのかという具体的な希望を持っている生徒が少ないことが気になっていました。もちろん高校の段階で、進路を具体的に決めるのは難しいですが、色々な方面に興味を持って、深めていって欲しいです。そのための材料の一つとして、長期休みに進路につながるような講座を開きたいと考えていました。
 ロボットなら、情報・機械・電気電子など、多くの分野につなげていくことができます。外部機関によるコンテストもあり、そこへ向けて生徒のモチベーションを高めることもできます。
 今は、Arduino(アルドゥイーノ)という手のひらサイズのマイコンによるロボットの作成に挑戦しています。Arduinoは、モーターやセンサーなどを拡張できて、プログラミングや電子工作の経験がない人でも比較的簡単に扱えます。
 私自身十分な知識があるとは言えませんが、今年の夏はArduinoによる楽器の作成講座を開くことができました。冬休みにはArduinoを使ってライントレースカー(ボードの上にある白線を検知しながら走るマシン)を作成してレースを行う予定です。

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写真:鈴木先生制作のライントレーサー試作機
(クリックで新規ウィンドウにて拡大表示します)

 FGSウェブキャンパスには、勉強の過程で作成したものを簡単な説明とともに載せています。興味のある生徒がこれを見て、自分でも始めてくれればいいな、と思っています。
 ロボットの講座を開くときも、FGSウェブキャンパスは役立っています。限られた時間の中でプログラミング、電子回路について一から説明することは困難ですが、その大部分をFGSウェブキャンパス上で行うことで開講することができました。
 今回は、課題・時間割の説明、作品例・プログラムの紹介、事前課題の案内、生徒の作品の紹介などを行いました。来年以降は電子回路やロボット作成についても解説のビデオを作成していくかもしれません。
 また、ロボットについて勉強する中でできたつながりから、今年の夏休みにロボット科学教育Crefus(クレファス)の方をお招きして、LEGO®マインドストーム®によるロボット作成講座を開くこともできました。この講座には高校1・2年生が30人程度申し込んでくれました。当日はロボットを一から作成して競技を行い、大変盛り上がりました。
 Crefus様による講座は、今後、中学生に向けても開講していきたいと考えています。」

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写真 : ロボット作成講座の様子

―――――今後、どのようにFGSウェブキャンパスを使っていきたいと考えていますか?

鈴木先生
「授業全体として来年度は、ビデオや小テストについて今年度出てきた問題点を解決しつつ、今取り組んでいる方法以外のアクティブラーニングの形式を取り入れ、実験の時間を増やします。
 2年後以降は、能力のある生徒が自分のペースで進んでいける授業形式にしていきたいと思っています。今でも物理選択者は全てのコースにアクセスできるようになっており、高2の生徒の中にも高3の内容を学んでいる生徒が既にいますが、これは家庭学習のみの話です。授業時間内でも先取り学習に対応し、先取りするのが普通、という状態にしていきたいと思っています。
 そのために、FGSウェブキャンパスには問題集の重要問題の解説ビデオ、実験の予習ビデオ、小テストのへのヒント機能などを充実させていきます。実験レポート・アクティブラーニングのための、教員と生徒・生徒同士の情報伝達の場としても使えないか検討しています。
 また、先取り学習をするためには、自分で目標とそのためのスケジュールを立てて、自分で進めなければいけません。それをサポートすることもできたらいいな、と考えています。」

 次回は英語科のスティフラー先生、オコナー先生にお話をお聞きします。


脚注
※ビデオを制作するパソコンの環境について鈴木先生に教えていただきました。

「PCはデスクトップ(CPU:Intel Core i5 2.7GHz、メモリ:8GB)、キャプチャーソフトはカムタジアスタジオ、ペンタブレットはWACOMのINTUOSを使用しています。これで困ったことは特にありません。
 テキストのPDFをデジタルノートアプリのOneNoteに取り込み、OneNote上でPDFに書き込んでいる様子をキャプチャーしています。OneNoteはPDFへの書き込み機能は最低限です。しかしOneNoteを使って各端末を同期することで、学校でビデオの資料の用意をしたり、通勤中にiPadを使ってリハーサルをすることが簡単にできます。
 オーディオ関係は、オーディオインターフェースはEDIROLのUA-25、マイクはSHUREのBETA57Aを使用しています。オーディオ関係の機材と知識を趣味の関係で多少持っていたお陰で、ビデオ作成への敷居が低かったかもしれません。
 実験のビデオを撮影するときは、iPadで撮影したものをPCに取り込み、PC上で再生しながら解説を録音しています。」 <上に戻る>


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