一人一人に柔軟に対応できるeラーニングへ~すがやみつるさん特別インタビュー(6)

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画像:京都精華大学ホームページより

―――――漫画のみならず様々な分野に応用可能なeラーニングの効果的な使用方法などはあるのでしょうか?

すがやさん
「これは現代の教育そのものの抱える問題にもなりますが、現代の特に学校教育は「全体の平均値を上げること」に重点が置かれています。具体的には教室で授業を通して全員が同じ知識を獲得していくことになります。
 しかし例えば、教育工学の分野では、PSI(Personalized Systems of Instruction=個別化教授システム)と呼ばれる学習システムがあります。これは1960年代にアメリカで生まれた学習システムで、それぞれのレベルに合わせて個別に必要な課題を選択し、それぞれがレベルに応じた課題に取り組むことで、より効果的に個々の学習を行っていこうというものです。
 個別化教授システムは1970年代に成功を収めましたが、80年代には教育の現場からは消えていきました。理由はいろいろあるでしょうが、大きなところではコストの問題があります。1つの教室に複数の教材を用意し、さらに複数のメンター(指導者)も用意しなければならないため、手間も人員もかかる授業形態になるからです。
 現代になってこの個別化教授システムが見直されてきていますが、これはまさにeラーニングの発展によるところがあります。例えばコンビニのアルバイト研修などは一つの場所に全員を集めて講義を行うよりも、eラーニングをベースに展開している企業が多いといいます。学習に関するこういった展開はeラーニングの利用価値を高めるものではないでしょうか。

※8 「個別化教授システム(PSI)」は基本的にクラスを習熟度別に分けてそれぞれのレベルに合わせた教材などを用いた授業を行う。そして定期的な試験を通してそれぞれの習熟度段階を上っていくことになる。しかし、例えば5つのレベルに分けた場合には1つのクラスに5種類の教材と、それをサポートする複数のメンターが必要になるため、コスト面での問題が大きくなる。


―――――最後に今後のeラーニングの展望についてすがやさんの考えをお聞かせください。

すがやさん
「個別化教授システムとも関わってきますが、「より個別化した学習形態」としてeラーニングの価値は高まってくるのではないでしょうか。
 例えば、大学でお世話になった恩師の一人の話ですが、外国での生活中に自分の子どもが現地でバイオリンを習っていたそうです。帰国後、今度はスカイプを通して同じ先生にバイオリン指導を継続してもらっているそうです。
 こういった形で音楽や絵画といった芸術分野であっても、eラーニングを使用することで、それぞれに合った個別学習を行うことができるようになってきています。また、知識教授型の授業はeラーニングに任せ、教室では実技指導や演習などを行う反転授業のような授業展開は今後も増えていくのではないでしょうか。」

 

※以下のページで、eラーニング関連でのすがやさん執筆記事が読めます。(外部リンク)

◎マンガ家五十八歳、早稲田で学ぶ
https://note.mu/msugaya/n/nada4b0640260

◎カドカワが「ニコ動」で乗り出す通信制高校の成否(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/special/CO019692/20151027-OYT8T50081.html?page_no=1

◎すがやみつる公式ホームページ
http://www.m-sugaya.jp/index.html





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